うたよみ
ヘルマン=ヘッセ
「僕は小説家になるか、でなければ何にもなりたくない。」

ヘッセが残した有名な言葉です。

良い小説を読んでいると、僕が感動したものを他の人にも共有して欲しいと思う時があります。

そして、僕もこの小説みたいに誰かの心を動かすことができたらなと空想してしまうことがあります。

でもその半面、僕に小説家を目指すことはできないとも思います。

才能のことはもちろん、その覚悟がないと思うからです。

本当に人の心を動かす良い作品を書くためには、莫大な時間と労力を費やさなければ到底達成できないと思います。

だって、インスタントに出来上がったもので行う心のやり取りなんて、なんだかつまらないじゃないですか。

細部にまで神経を渡らせ、深い教養をもって、様々な描写を巧に使い、そして綿密にストーリーを作り上げる過程を惜しまない。

そこまでの覚悟はさすがに僕は持てません。


もちろん小説家の仕事は、誰かの心を磨く、価値のある仕事だと思うけれど、僕はそれに人生をかけるようにして生きてはゆけません。

一方で、絶えずに良い作品を作り続けている人は尊敬に値すると思います。

例えば、ゲーテや天童荒太、あるいはヘッセのような作家は偉大ですよね。

もしこの文章を読む貴方が、将来小説家を目指しているならば、少しずつでも構わないです。

それはきっとどこかで何かと繋がるから、心を豊かに保ち、自分を向上させていってくれればなと思ったりもします。

まぁ単純に物書きで食ってくだけなら、こんなに固く考える必要もないんですけどね。

貴方が将来、どこかで誰かを心から震えるくらいに感動させることができたなら。

それはきっと価値のある仕事です。

貴方がそんな実りのある仕事を、いつの日か達成することを夢見ています。

がんばってください!
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