さよなら、もう一人のわたし (修正前)
第六章 千春の夢
 あたしは誰もいない教室でため息を吐いた。授業が終わり、もう誰も残っていなかったのだ。

 しかし、あたしの中では昨日のことが断続的に蘇る。

 あたしは意外と衝動的に動く人間だったのだろう。

 自分がしたことに気づいたのは家に帰った後だった。

 自分から男の人に抱きつくなどどうにかしていると思う。

 その上、彼が風邪でも引いたらどうしたらいいだろう。

 あたしが机に伏せていると、あたしの机に影が映る。

 顔を上げると千春が立っていた。

 彼女は明るい笑顔を浮かべている。

「昨日どうだった?」

 誰からも昨日の話を聞いていないのだろうか。

「うーん。分からない」

「伯父さんも変な人だからね」

 あたしたちはそのまま学校を出ることにした。
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