さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「自分のことは自分でよく分かっているからね」

 あたしは明るい口調で言った。

 夢は叶えることができないから夢なのかもしれない。

「千春は何になりたいの?」

 なんとなくその彼女が何になりたいか知りたかったのだ。

 彼女の顔が真っ赤になる。

「笑わない?」

「笑わないよ」

「……お嫁さん」

「そうなの? もっと専門職みたいなものかと思っていた。研究者とか」
 
 彼女が理系クラスに所属しているからそう思ったのだ。

「あ、そっちの夢?」

 彼女はしまったと言いたそうな顔をした。彼女にとって一番の夢がそれだったのだろうか。

「研究者とかなれたらいいよね。楽しそうだもん」

 千春は無理に明るい声を出した。
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