さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしはそこで我に返る。

 どう考えてもおかしいのではないだろうか。

「怪しいものに売り飛ばそうとしているわけじゃないでしょうね」

 あたしだって最低限の自己防衛くらいはできるのだ。

 念を押して聞いておくことくらいは欠かさない。

「は?」

 まさか、そんな風に切り替えされるとは思わなかったのか、驚いたようにこちらを見る。

「大丈夫よ。大体あたしだって、高校中退はしたくないし。同じ学校の子に自分の身を明かしてまで言わないって。まあ、無理にとはいわないけど、あたしの家に遊びに来る? 映画とかたくさんあるから」

「遊びに来るだけなら」

「じゃ、決まりね」

 彼女の陽気な様子にただ戸惑っていた。
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