さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 何も言ってくれなかった。

 あたしは彼の後を追う。

 あの話が出てから今まで週に一度はかかってきていた尚志さんからの電話がぴたりと止んだことをただ考えていた。

 あたしは彼の後姿を見ながらうつむいた。

 もうあたしの子守をするのも嫌になったのかもしれない。

 彼女ができたのかもしれない。

 そう不安に思っても聞けなかった。

「大学はどうする?」

 彼は振り向きもせずにそう問いかけてきた。

 あたしは彼に話しかけられたことに戸惑いつつも返事をした。

「行きたいけど、どうしようか迷っています。中途半端になるのが怖くて。留年はしたくないし」

 尚志さんは振り向かずに言葉を続ける。
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