さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしたちは大学に行くと、外から構内を覗き込む。

「先に弘が入ってよ」

 明らかに石造りの壁の隙間から中を覗き込んでいるあたしたちはおかしな人だろう。しかし、先に入るのには勇気がいる。

「仕方ないな」

 彼はあたしより先に大学の構内に入る。

 あたしは弘に続いて大学の中に入った。

 大学の中にはあまり人気がなかった。

 時刻は夕方の五時を回っている。さすがに授業は終わったのだろうか。

「閑散としているな」

 弘は辺りを見渡しながら言った。

「まあ、もう時間も遅いしね」

 あたしたちは辺りを散策することにした。
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