さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは胸元に拳を当てると、天を仰いだ。

 そらには澄み渡るような青空が広がっている。

「バカみたい」

 自分を好きになってくれない人を今でも想っていて

 会えるかもしれないと期待して大学まできて。

 その結果、あたしが得たのは

 ただの虚しい気持ちだった。

 大学に行かないことを決めたあたしにはこの大学の門をくぐることはできないのだ。

 それなのに、何を期待しているのだろう。

 風があたしの頬に触れた。

 その風に導かれるようにして、キーの高い女性の声が聞こえた。

 あたしは学生でもないのに入り込んだ後ろめたさからだろう。思わず肩をすくめて身を小さくしていた。
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