さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 千春は自分の兄を睨むと、重い足取りで近寄ってきた。

「どうして? たった二点じゃない。それでもクラスでトップだったのに、あの人は満点意外に認めないのよ」

「諦めろよ」

 千春は私と兄を一瞥すると、首を背けた。

 目の前の少女は千春ではなく、父親に不満をぶつける少女だった。


 すごい。


 彼女の様子を見て、素直にそう思う。


 こうやって誰かに強く惹かれたのは、あの二人以来だった。

 彼女が視野に入ってくるだけでm、彼女の周りにある全てのものが背景と化していた。

 ここまで存在感のある人はなかなかいない。

「何か言ってみて。何でもいいから」

 千春の兄にそう促がされる。

「何でもいいって?」

「何か会話を持ち出せば千春が反応すると思うから」
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