さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 知らない人にまで心配されてなにをやっているのだろう。

 あたしは立ち上がると、足早にその場所を去ることにした。

 しかし、そのあたしの行く先を大きな影が遮った。

「平井? どうかしたのか?」

 あたしの目の前に立っていたのは弘だった。彼は両手にお茶を握っている。

「何でもない」

 弘があたしの後ろにいる男の人を見る。

 弘の目が鋭くなる。

「あいつに何かされたのか?」

「違うよ。あの人はあたしが泣いていたから声をかけただけで。後で話すから行こう」

 弘はあたしの言葉に納得していないようだったが、それ以上は追求してこなかった。
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