さよなら、もう一人のわたし （修正前）

「だからって平井に突然そんな態度とって。成宮さんの兄とは思えない」

「でも、無理に誘っていたのかもしれないから」

　弘はコーヒーを口につける。

「でも納得いかねーんだけど。好きじゃないなら最初から一緒にでかけなきゃいいじゃん」

「弘だって千春に会う前なら、どうした？　好みの女の子からデートしてくださいって言われたら」

　尚志さんの好みとあたしが合致するとは思わなかったが、一応弘の同意を得やすいように言ってみた。

「嫌いでない相手と遊びに行くくらいなら。でもだからって突然無視したり、冷たくしたりはしないよ」

　弘は難しい顔をしながらそう言った。

　でも尚志さんが弘とは違う。彼に突然好きな人ができたり、面倒になってあたしに対して冷たくなったとしても何ら不思議はなかったのだ。