さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「俺は話を聞くくらいしかできないけど、何かあったらいつでも話をしてよ」

「ありがとう。でも大丈夫だよ」

「お前の口癖は大丈夫だからな」

 彼は苦笑いを浮かべる。

「心配かけてごめんね。でももう大丈夫だよ。今から大学の構内を見に行く?」

 あたしはすっかり落ち着いていた。ずっと会えなかった彼に会って、一人で気持ちが高ぶってしまっていたのだ。

 別に直接的に嫌いと言われたわけでもないのに、大泣きして知らない人にも迷惑をかけてしまった。

「いいよ。別に」

 彼はどこか不機嫌そうだった。尚志さんのことを怒っているのだろう。

 彼みたいな人に好きになってもらえる子は幸せだと思う。

 でも、あたしは弘のことを好きになることはないからそう思うのだろう。

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