さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「弘は頑張ってね」

「あー、でも自信ないな。成宮さんはいつも笑顔なんだけど、他人行儀っていうか」

「千春も人が苦手なんだと思うよ」

 だからあたしと尚志さん以外には壁を作っているのだと思う。

「それに、平井にそんなことをしたのが兄ってのも気になる。彼女が悪いわけではないのに」

「あたしのことは気にしないでよ」

 千春のことが好きなら彼女のことだけ考えていたらいいのに。

 それができないのが彼なのだろう。

 弘は突然何かを思い出したような顔をする。

「最近成宮さんと一緒に帰ってないよな? もしかして喧嘩したとか?」

「千春は映画の準備で忙しいみたい。彼女の伯父さんが仕切っているし、彼女もそれなりの手伝いをしているから」


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