さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「気を悪くしたら謝るけど、いろいろ疑問に思ってしまってさ」

「例えば?」

 弘は頭をお辞儀をするように下げた。お辞儀をしたわけではなく、どうあたしに話を切り出すのか迷っているのだろう。

「気にしないでいいよ。今更遠慮って関係でもないでしょう?」

 弘はあたしと目を合わせずに何度か頷く。

「昔撮った映画をどうしてお前で撮るのかとか。

別にお前が悪いってわけじゃなくて。

今までお金を稼ぐためにリメイクとか撮るとは思っていたけど、お金になりそうでもないし。

確かにいい話だとは思うよ。でも時代錯誤といったらあれだけど、今の時代にヒットするとは思えないし、無名のお前が出ても正直話題になるとは思えないっていうか。

話題性なら、彼女が演技できるか分からないけど、成宮さんが出たほうがっていうか」

 弘は言葉を選びながらあたしにそう告げた。

「あたしもそう思うよ」

 弘が言いたいことはなんとなく分かる。


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