さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 それなら千春の過去のことを知っているのだろうか。

「幼馴染か。そう言えなくもないね。上手い言い方を思いついたね」

 千春はまるで他人事のような言葉を並べた。

 あたしたちの注文した品がテーブルの上に届く。

 あたしは紅茶に口をつける。

 千春がコーヒーを手に取ったときだった。

「千春ってコーヒー飲めるようになったのか」

「コーヒーくらい飲めるわよ」

「昔、コーヒー飲んで苦いって泣き出したことあったのにね」

「そんな昔のこと止めてよ」

 千春は頬を膨らませて、杉田さんを睨む。

 あたしが考えているよりも仲がよさそうに見える。

 幼馴染と言われたらしっくりきそうだ。

 そんな感じだった。

「康ちゃんだって女の子に間違われていたくせに」

「別に気にしてないから、そのことを言ってもムダ」

 千春は唇を尖らせた。

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