さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「素人よ。素人。一般人だって。あなただってやってみなさい。プロになりたいのでしょう?」

 突然話を振られると思っていなかった私は戸惑う。

 あたしはさっき千春がやった通りにやってみようとした。

「本当、パパったら」

「そんなんじゃだめよ。照れてどうするのよ」

 早速千春の注意が入った。

「こういうところでやるのは恥ずかしいかな、なんて」

 あたしが千春を見ると、彼女は怖い顔で睨んでいる。

 本気で怒っているように見えなくもない。

「今日は初対面なんだから、無理にそこまでしなくていいよ。千春もそうかっかしないで」

 あたしと千春の間に割って入ったのは彼女の兄だった。
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