さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 想像以上に彼女に気を使わせていたことに気づく。

「伯父さんからだよ。後は二人で適当に話してみたりするといいと思うから」

 彼女はお金をテーブルの上に置く。

「康ちゃんにはあまり気を使わなくて大丈夫だから、ね」

 彼女はそう言い残すと、お店から出て行った。

 鐘の音が鳴り止むのを待って、あたしは彼を見据えた。

「昨日のことなんですけど」

 嘘をついたままでいるのは気分が悪かったからだ。

「気にしないでいいよ。何か事情があったのだろうし、無理に聞くつもりはないからさ」


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