さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 それでも演じられるから選ばれたのだろう。

「台本って覚えた?」

「覚えたよ。昔から記憶力だけはいいからね」

「役柄とイメージが違うなって思って」

「そのときはしっかりやるから大丈夫だよ」

 彼は優しく微笑む。

 本当にイメージが違う。

 あたしと水絵さん以上のイメージの開きだった。

「昨日一緒にいた男の人は友達?」

「高校の同級生です」

「高校か。懐かしいよな」

「でも杉田さんもこの前まで高校生だったのでしょう?」

「もう高校生じゃないからね」

「でも今でも高校生で通じますよ」

 童顔の彼はまだあどけなかった。
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