さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしの腕が強い力でつかまれた。

 あたしはそのことに驚き、目を開く。

「平井さん?」

 あたしはぼんやりとした記憶の中、杉田さんの声を聞き、我に返る。

「朝になっているんだけど、大丈夫じゃないよね?」

 朝?

 あたしはまだ寝ぼけていたのだ。意味が分からなかった。

 窓からは明るい光が差し込んでいる。

 でも、しばらく考えて事情を呑み込んだ。

「さっき携帯も鳴っていて」

 杉田さんは苦笑いを浮かべていた。

 あたしは携帯の履歴を確認すると、母親からの電話が五件入っていた。

 あたしは頭を抱えた。

 要は杉田さんが起きるまで待っていようと思ったらそのうちうとうとしてしまって、爆睡してしまったということだった。

「まずい。怒られる」

 せめて一メールでも送っておけばよかったかもしれない。
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