さよなら、もう一人のわたし （修正前）

「お母さん？」

　あたしは頷いた。

「僕も謝るよ」

　杉田さんが申し訳なさそうな顔をしながら言った。

「いいですよ。悪いですから。あたしが眠ってしまったのが原因だし」

　あたしが勝手に眠ってしまったのだ。彼に迷惑はかけたくない。

　彼はあたしに帰っていいと言ってくれていたのだ。

「元々僕のせいだし。できればそうさせてほしい」

　彼は申し訳なさそうな顔をしていた。

　彼みたいなタイプはあたし以上に責任を感じているのかもしれない。

　確かに事情を説明するには事情を説明してくれる人がいたほうがいいが、それが男の子というのはどうなのだろうか。

　でも、彼を見ていると悪人には見えないだろう。

　母親も信じてくれるかもしれない。

　あたしは頷いた。

「そしたらお願いします」

　あたしたちは家に帰ることにした。