さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「違うよ。ただ、何か放っておけなくて」

 あたしは口をつぐむ。

 そんな勘違いをさせたら迷惑がかかる。

 そんな気持ちが先行していた。

「そうなの? ごめんなさいね」

 あたしたちはそんな感じに見えるのだろうか。

 もちろん、悪い気はしなかった。

「ちょっといい?」

 母親はあたしだけを呼び出した。

 あたしは彼女のあとについていく。

「学校、行く? もう休んでもいいわよ?」

「行くよ」

「なら、遅刻で連絡しておくわ。でも、彼っていい子ね。真面目そうで」

 尚志さんよりも彼の方が気に入ったのだろうか。
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