さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 それならどんなにいいだろう。

 クリスマスが恋人と過ごす日なら、あたしは絶対今日彼に会いにいったのに。

 窓ガラスに映る自分の姿を見ていた。

 その後ろには幸せそうなカップルの姿があった。

 あたしには関係ない話だと首を横に振る。

 あたしの口から白い息が漏れる。

 吹き抜ける冷たい風から自らを守るように肩を抱いた。

「早く帰ろうか」

 あたしが寒がっていたのに気づいたのだろう。

 優しい口調でそう告げた。

「ケーキでも買おうかな」

 家に帰ってクリスマスらしくケーキでも食べようと思ったのだ。

「どこで買う? つきあうよ」

「そうだね」

 あたしはよさそうな店がないか辺りを見渡したときだった。

 甘えたような声が聞こえてきた。

「ねえ。成宮くん」

 あたしはその名前に反応し、声を上げた。
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