さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 四月を過ぎ、千春たちは大学に入学した。

 明後日あたしは家を出ることになっていた。

 そのための荷造りをしていたのだ。

 母親はあまり彼の近くに住むことを快く思っていないようだった。

 母親は彼のことが嫌いなのかもしれない。

「あなたは成宮秀樹のことをどう思う?」

 洋服を箱に詰めていたあたしに母親が尋ねてきた。

 一番に考えたのはあたしの名前の意味を知っていたこと。

 でもそれは言えない。

「変な人かな」

 あたしは二番目の答えを彼女に告げた。

 母親はまだ難しい顔をしていた。

 彼女がどんな答えを望んでいたのかあたしには分からなかった。
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