さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは何となく千春の声が聞きたくなった。

 彼女とは一緒に過ごす時間は減ったものの、仲はよかった。

 でも、杉田さんに告白されたことは彼女には言ってなかった。

 言えるわけがない。

 千春が彼を慕っている可能性もあるからだ。

 それに杉田さんが今もあたしを好きか分からないのだ。

「大学はどう?」

「そこそこかな。早く専門過程に入りたい」

 千春は自分の兄と同じ学科に入っていた。

「そういえば、武田くんと同じ授業をとっていてびっくりしたな」

「そうなんだ」

 偶然だろう。でも、弘にとっては何とか手に入れた接点だったのだろう。

「千春は弘のことどう思う?」

「面白い人かな。そんな感じ?」

 あまり意識をしていないということなのだろうか。





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