さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは家に入ると、電気をつけた。

 あたしが住んでいるのはその近くにあるマンションだった。

 あたしの父親はあたしが小さい頃亡くなったのだ。

 小さい頃といっても幼稚園に入る前のことだったので、あたしには父親の記憶はほとんどなかった。

 お店は母親が祖母から受け継いだものと聞いた。

「大学、か」

 机の上にある問題集に目を向ける。

 成績は悪いほうではなかった。

 親が苦労している姿を見ていると、あたしも勉強を頑張らないといけないと思えたからだ。

 母親はあたしの夢を反対はしなかった。

 きっと彼女なりにあたしの幸せを考えていてくれたのだろう。
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