さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「夜ご飯はどうするの? 何か食べたいものはある?」

「おにぎりかなにかでいいです」

 あたしは何も考えていなかった。

「下にいる人が何か作っているわよ。食べてあげたら?」

「監督が?」

 そう言ったのは消去法でだった。

 あたしと木下さんがここにいる。ということは残るは監督だけだった。

 あたしが部屋を出ると、木下さんはそのまま自分の部屋に戻った。

「木下さんは食べないんですか?」

「後から食べるわ。いろいろやらないといけないことがあってね」

 あたしはのんびりしていたのに、いろいろ大変だと思った。

 あたしが階段をおりると、香ばしい匂いに気づく。

 あたしはキッチンを覗き込む。

 確かに彼は何かを作っているようだった。

「ハンバーグですか?」

「たっぷりあるから好きなだけ食べなさい」

< 302 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop