さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 廊下に出ると、眼鏡に三つ網の髪の毛をした女の子が立っていた。
 千春だった。

 千春はあたしを見ると、手を振った。

「今日、一緒に帰らない?」

「いいよ。千春って恋愛に興味ある?」

「恋愛? そんなもの興味ないわよ」

 彼女は満面の笑みを浮かべてそう答えた。

 彼女の表情を見ていると、本当にそう思っていると分かる。

 そのとき、あたしのすぐ後ろの扉が開く。

 そこから出てきたのは弘だった。

 彼は彼女を見ると、動きが止まった。

 千春は眉間にしわを寄せて、怪訝そうな表情を浮かべている。

「何か用ですか?」

「いや、あの」

 弘はしどろもどろになっている。

「クラスメイトの武田弘」

「そう。よろしくね」
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