さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「何年前の話よ。あたしは女優にはなるつもりはないわ。

別にあなたが彼女のイメージにぴったりなら問題なく選んだ。

でもあなたたちにはあの役無理だと思うわ。あの程度のシーンであんなに失敗して。果歩は何倍のセリフがあるか分かっているの?」


「どうしてあなたがそんなことを知っているのよ」

「彼に聞いたのよ」

 千春は一息おいて話を続ける。

「本当は分かっているのでしょう? 彼女に勝てないって。

もし、あなたが本気で勝てると思っているなら、最初から伯父に言うわよね。こんな陰湿な嫌がらせをせずにね」

「嫌がらせって」

 ひろみは吐き捨てるように言った。

「いじめのほうがいい? あの子が倒れるように仕向けたのはあなたたちでしょう? まさか本気でNGを出していたとしたら本気で笑っちゃうわ」

 二人の表情が引きつる。

 彼女たちの表情が全てを物語っていた。
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