さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 文子とのシーンも撮り直しが多かったことは確かだった。

「あなたたちだって遊びでやっているわけじゃないでしょう? 

本気ならちゃんと仕事をしなさいよ。

あたしにあなたを選ばなかったことを後悔させるようにね」

 二人はあたしと千春を睨むと、小走りに去っていく。

「本当に反省しているのかしら?」

「あんまり挑発するようなことは言わないほうがいいよ。面倒だし」

 杉田さんは困ったように微笑む。

「でも、あなたの気持ちを言ってあげたのだから感謝してよね。あたしが言うのは一番トラブルにならないのは知っているから」

 千春は肩をすくめる。

 その言葉を杉田さんは否定しなかった。

 しかし、あたしにはどうして今、千春がここにいるのかが分からない。




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