さよなら、もう一人のわたし （修正前）
「ねえ、どうして千春がいるの？　話が呑み込めないのだけど」

「暇つぶしに来たの」

　彼女の肩にはバッグがかけられていた。そこからは彼女の授業で使われたと思われるノートが覗いていた。

　学校から直行してくれたのだろうか。

　誰が彼女を呼んだのだろうか。

　杉田さんではないかと一瞬思ったが、彼が千春を呼ぶとは考えにくい。

「千春は明日、僕と一緒に帰宅だな」

　彼は千春が学校をサボるのを嫌っているからだった。

　それに彼なら千春を呼ばずに自分で彼女たちに話をしようとするだろう。

　成宮監督というのも考えにくい。彼もやっぱり直接言うと思ったからだ。

「え？　せっかく来たのに」

「ちゃんと大学に通わないと、ね」

　千春は頬を膨らませた。

　今はそんなことを気にする必要もないのかもしれない。
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