さよなら、もう一人のわたし （修正前）

「ありがとう」

　あたしは彼女にお礼を告げた。

　さっきまで彼女たちに感じていた憤りがあっという間に消え去っていた。

　人が本気で怒ってくれると嬉しかったりするから。

「気にしない。ああいう陰湿なのは大嫌いだから」

「そうそう。昔から千春は喧嘩っ早くて大変だったよ」

「彼女たちにはいい薬でしょう？　それに康ちゃんだって似たようなものでしょう？」

「そんなことないって」

「今は大人ぶっているけど、結構子供っぽいし」

　そんな二人のやり取りをみていると、さすがに幼馴染だなと思えてくる。

　千春はあたしを見ると、淡々と告げる。

「彼女たちの言ったことは気にしない。中傷なんていくらでも転がっているのよ。相手にしたら、付け入る隙を与えるようなものでしょう？」

「うん……」