さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしが今、一番聞きたい言葉だった。

 でも、同時に罪悪感に似た気持ちがあたしを襲う。

 だってあたしは。

「今日は泊まるね。美咲の部屋に泊まっていい?」

「いいよ。でも、その呼び方を千春にされると違和感がある」

 あたしは千春の言葉に頷いた。

 千春は肩をすくめて微笑む。

「いいじゃない。美咲ちゃん」

「そんなことはどうでもいいけど、どうして起きてきたんだよ」

 千春の言葉を遮るように、杉田さんが強い口調であたしに言った。

 怒っているのだろうか。心の中でそう思う。

「もう体調が戻ったから撮影に戻ろうかな、と思って。そんなにややこしいシーンはなかったと思うし」

「全く」

 杉田さんは肩をすくめてあたしを見た。

「それなら今度は無理をしないこと。分かった?」

 彼は今度はまるで親みたいだ。
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