さよなら、もう一人のわたし （修正前）

　あたしは千春と学校の近くにある本屋で待ち合わせることにした。

　あたしが本屋に入ろうとしたとき、見たことのある少女が四十代ほどの男と話しているのを見た。男に見覚えはなかったが、少女は千春だった。

「だからあたしに言わないでください」

　千春は怪訝そうな顔でその男を睨んでいる。

「だから、君から伯父さんに口添えしてほしいと言っているんだ」

「嫌です。誰がするか決まったんですか？　その具体的な人が決まったなら考えなくもないですけど、若手の綺麗な女の子の売り出しに使うのでは納得しないと思いますよ」

「お金ならいくらでも出す」

「伯父にとっても、父にとってもあれはお金には変えられないものなんですよ」

「そこを頼む」

　その男が千春の腕をつかんだ。