さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「あれ、やってみたい」

「あんなのやりたいのか?」

「やってみたことないから。いい?」

 杉田さんは「分かった」というと、一緒に店の中までついてきてくれた。



 しかしやってみると意外と難しい。かわいいぬいぐるみをみつけたものの、ちょっとつかむと落っこちてしまうのだ。

「杉田さんはやったことあるの?」

「あるけど苦手」

「やってみて」

 あたしは有無を言わさず小銭を入れた。赤いランプが灯る。

 しかし、杉田さんもあたしに負けず劣らず下手だった。

 あたしは必死にやっている彼を見ていると、何だか笑い出してしまった。

「杉田さんにも苦手なものってあるんだね」

「そりゃあ、あるよ。こんなことあまりしないし」

 あたしたちは結局何もとれずにその場から退散することにした。

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