さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしたちがゲームセンターを出ると雨が降り出した。

 あたしたちは傘を持っていない。

「どうしよう」

 雨は果てしなく降りしきり、永遠に降り続くのではないか。そう思うほど降り続いていた。

 あたしがこのシーンを見て、思い出すのはあのシーンだった。

 二人の誤解が解けるシーン。

「このシーンって映画にありそうなシーンだよね」

「そういえば、そんなシーンがあったね」

 彼は空を見上げながら、微笑む。

 彼とそのシーンをもうすぐ撮るんだな、と何となく考えていた。

 あたしの足は自然に動いていた。

 どうしてだとかそんなことは分からなかった。

「平井さん?」

 杉田さんが呼ぶ声が聞こえたけど、そんな声もどうでもよくて


 あたしはただ歩いていた。





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