さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 彼の言葉に救われた。

 そんな気がしたのだ。

「杉田さんはどうして、役者になろうとしたの?」

 あたしから手を解く。

 そして、彼は優しく微笑んだ。

 彼はゆっくりと語りだしてくれた。

「妹、だよ」

「わがままな?」

 あたしの彼の妹に対する情報はそれだけだった。

「妹が体が弱くて、なかなか遊べなかった。だから、彼女はいつもテレビを見たり、映画を見たりしていたんだ。そんなときにね、成宮監督に声をかけられた」

「あの人が?」

「僕が映画に出たら、妹も喜ぶんじゃないかって」

「なんてことを」



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