さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 本当に彼は映画のことしか興味がないのだろうか。

「僕が悩んでいたら、そう言ってくれただけだから、そこまで強引に引きずり込もうとしたわけでもないと思うよ。

結果的に妹も喜んでくれたし、妹がいつも見ているテレビに僕が映ると、嬉しそうにしていたって。何度も何度も繰り返してそのシーンを見たりして」

 何か微笑ましかった。

 兄妹。千春の家と似ているのかもしれない。

「少しずつ彼女が元気になっていっているって言われてすごく嬉しかった。その後ね、引っ越すことになって辞めたんだ」

 千春とは全く違う理由で始め、全く違う理由で辞めていったのだろう。

「兄弟っていいね」

「でも、僕の家は仲がいいけど、悪いと大変みたいだよ」

 それはそうなのかもしれない。仲が悪いのに毎日顔を合わせないといけないと大変だから。






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