さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「あたしは良いのよ」


 悲観的とも投げやりとも思えないあっけらかんとした笑みだった。


 彼女はあたしをじっと見詰め、微笑んだ。




 結果はあの子の言った通り落選だった。いつもいいところまでいっても、あと一歩でオーディションに受かることができない。



 あたしは窓の外を眺めていた。空には雲ひとつない天気だった。


 これで何度目の落選通知だろう。そんなに大きな役でもないのに。


 応募するたびに落選を増やしていくそんな感じだった。


 あたしはもう十七歳になっていた。


 テレビや映画ではあたしと同じくらいの子が活躍している。


 そんな子の活躍を見るたびに悔しいと思ってしまう。
< 4 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop