さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 彼とキスをするのか。

 そんなことを考える。

 嫌ではないけれど、ちょっと恥ずかしいのかもしれない。

「言われると、緊張してきた」

「大丈夫だよ。何なら予行練習でもしたら? 康ちゃん、つきあってくれると思うよ」

「そんなこと言えないし、いいから」

 千春は嬉しそうに笑っていた。

 彼女の明るい笑顔を見ていると、あたしは不思議な安堵感を覚えていた。

 もしかすると、家族との関係が上手く行っているのかもしれない。

 あたしはそう考えていた。



< 406 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop