さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「なにが?」

 あたしは千春の口調にドキッとする。

 それにはもちろん思い当たることがあったからだ。

「康ちゃんが、京香があまり話をしてくれなくなったって言っていたよ」

 あたしは返事につまる。

 彼を意識してしまうと、上手く話せなくなっていたのだ。

「必要最低限は話しているし」

「必要最低限は、ね」

 千春は意味ありげに笑う。

「二人でデートでもしてきたら?」

「無理。何も話せなくなる」

「大丈夫だよ。今までできていたでしょう?」

 今まで話ができていたから余計話せなくなるのだ。

「あ、康ちゃん」

 その言葉にあたしはドキッとした。


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