さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしたちは夕方前に別荘に戻ることにした。

 別荘に入るとき、見慣れない車があるのに気づく。

 誰かやってきたのだろうか。

 あたしはそう軽く考えていたのだ。

 あたしが家の中に入ったとき、家の中ががらんとしていることに気づく。

 千春は部屋にいて、監督たちは出かけているのだろう。そう考えていたのだ。

 あたしは何も考えずに、千春の部屋に向かう。

 今日一日の話を聞かせるためだったのだ。

 あたしは千春の部屋をノックする。

「千春?」

 同時に彼女の名前を呼んだ。

 でも、すぐに返事は聞こえてこなかった。

 あたしが部屋の中を覗きこむと、いつも彼女が座っている机には彼女の姿がなかった。

 あたしは盛り上がったベッドに釘付けになる。そして、そのときやっと、彼女の傍にいる人影に気づいた。



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