さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「少しの間だけ、千春の看病をしてあげてください」

「でも、康ちゃんが体調を崩したりしたら」

「大丈夫だよ。妹の看病ばかりしていても移らなかったんだから」

 彼は優しく微笑む。

 千春も心のどこかで彼に看病をしてもらいたいと思っていたのだろう。

 それ以上、強く拒否をすることはなかった。

「尚志さん」

 あたしは彼の名前を呼んだ。

 彼も妹の心境に気づいたのだろう。

 それ以上は何も言わなかった。

「少し経ったらまた戻るよ」

 あたしと尚志さんは一緒に千春の部屋を出た。
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