さよなら、もう一人のわたし (修正前)
第三十章 初恋の人
あたしは一時間後に千春の部屋をノックする。尚志さんが千春の部屋に入る前に彼女と話をしたかったからだ。
「どうぞ」
耳をすまさないと聞こえないほど小さな千春の声だった。
あたしは音をたてずに千春の部屋に入る。
そこには杉田さんが、千春のベッドに伏せるように眠っていたのだ。
「杉田さん」
あたしが彼を起こそうとするのを千春が制した。
「きっと疲れていると思うから、もう少し寝かせておいていいかな」
「いいけど、体調は?」
「多分、平気」
あたしは千春の額に触れた。しかし、彼女の額はやはり熱っぽい。
「無理はしないでね」
千春は頷く。
「康ちゃんは頑張り屋だから、いつも人の何倍も頑張っちゃうんだよね」
優しい笑みで彼の寝顔を見つめている。
あたしが今までに見たどんな笑みよりも優しい笑み。
「どうぞ」
耳をすまさないと聞こえないほど小さな千春の声だった。
あたしは音をたてずに千春の部屋に入る。
そこには杉田さんが、千春のベッドに伏せるように眠っていたのだ。
「杉田さん」
あたしが彼を起こそうとするのを千春が制した。
「きっと疲れていると思うから、もう少し寝かせておいていいかな」
「いいけど、体調は?」
「多分、平気」
あたしは千春の額に触れた。しかし、彼女の額はやはり熱っぽい。
「無理はしないでね」
千春は頷く。
「康ちゃんは頑張り屋だから、いつも人の何倍も頑張っちゃうんだよね」
優しい笑みで彼の寝顔を見つめている。
あたしが今までに見たどんな笑みよりも優しい笑み。