さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「でも、千春ちゃんが言っていたよ。あなたはあの子のことが好きだって」

「それはあいつが勝手に」

「でもね、あたしもそう思った」

 彼女はゆっくりと語りだす。

 そして、二人は人の流れを遮っているのに気づいたのだろう。

 彼らは列を離れて歩き出す。

 そして、あたしにより近い場所までやってきた。

 観葉植物越しに彼らがいるのが分かった。

 さっきよりもはっきりと声が聞こえるようになった。

 あたしは身動きもとれずにただ唇を噛み締める。

 そして、心臓が辺りに聞こえてしまうのではないかと思うほど激しく高鳴っていたのだ。

「あなたの彼女を見る目はとても優しいもの。千春ちゃんを見ている目は特別だと思った。それは妹だからだと分かっていた。

あなたが自分の役不足で彼女に罪悪感を覚えていたことも知っている。

だから、あなたがどれだけ妹を大切に思っていても、恋人は別だし、望みがあると思っていたの。でも、それは違っていたの」

 彼女の視線が彼を捉える。
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