さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「あの子を見る目は別格だって気づいてしまったの」

「そんなことないよ。君や千春を見るときと同じだって」

 彼が困っているのが分かった。

「そんなにあたしのこと信用できない? あなたがあたしを振ったんだから、本当のことを聞く権利あると思うんだけどね。

……そうでないと諦められないから」

 尚志さんは黙っていた。

「そうだよ。俺はあいつのことが好きだと思う」

 その言葉にあたしの胸が鷲づかみにされたような気持ちになる。

 それっぽいことを千春に言われたことはあった。

 彼女は絶対に好きでもない人にはキスなどをしないと言っていた。

 千春に言われたことが、現実味を増していく。

彼の口から聞くと疑う余地もない気がした。

「もしかしてつきあってるの?」

「それはないよ。諦めるって決めたから」
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