さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「そうなの? そのうち他の人のことを好きになれそう?」

 あたしの同様をよそに、二人の会話は続いていく。

「それは分からないけど、今のうちは無理だと思う」

 少し間が空いて押し殺したような声を出す。

 彼女はその言葉を聞いて、肩をすくめた。

「それってどうして? 別に黙ってつきあえばいいのに。伯父さんから手を出ししたらだめとでも言われたわけ?」

「別の人からなら言われたよ。でも、俺は彼女とつきあうことはできないと思う。きっと邪魔をしてしまうから」

 そう言うと、尚志さんは寂しそうに笑っていた。

「キスとかしたりするもんね。確かにそれは嫌かも。結構成宮君って独占欲強そうだからね」

「そんなことないよ」

 尚志さんはそんな彼女の言葉を否定した。

 しかし、彼女は聞く耳を持たないようだった。

「でも、それなら最初から全力で阻止したらよかったのに。あの子なら、あなたがそんな夢捨ててくれって言ったら捨てたかもよ?」
< 468 / 577 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop