さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 熱いシャワーが冷え切ったあたしの体に熱をもたらしてくれた。

 あたしはその心地よさを感じていたくて目を強く閉じていた。

 しばらく経って浴室に尚志さんが入ってくるのが分かった。

「あのさ」

 あたしはシャワーの蛇口を捻り、水を止める。

「風呂、入るなら入っていいよ。もう洗っているから、お湯を張るだけで大丈夫だから。無理にとは言わないから好きなように」

 彼はそう言い残すと、返事を聞かずに出て行った。

 お風呂に入るのとシャワーを浴びるのはまた大きな敷居がある。

 あたしはシャワーで温まるだけにしておくことに決めた。

 そして、浴室を出ると、そこにシャツと短パンが置いてあるのに気づく。

 一度も使用された形跡はなかったので、本当に未使用のものだったのだろう。

 もし、恋人同士だったりしたら、彼の洋服を着たりとかしたんだろうか。

 そんなことを考えると、なんだか恥ずかしくなってきた。
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