さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは唇を噛み締める。

「それでもあたしはずっとあなたが好きだった」

 あたしは尚志さんの隣に座る。

 一緒にいるのが自然で、幸せだった。

 夢が叶わなくても、彼と一緒にいられればいい。

 そう思ったのは本当だった。

 細い指があたしの頬を這う。

 あたしはその指が体から離れてほしくなくて、その手をつかんだ。

「俺には夢とかないからそういった面では羨ましかったし、君が自分の夢を叶えてくれればって思っている。

でも、同時に全てを否定したくなるような気持ちになるから。だからだめなんだよ」

 あたしは尚志さんの体に抱きついた。でも、彼は抱きしめ返すことはしてくれなかったのだ。

 あたしは何も言えなかった。

 何をどういえばいいのだろう。

 ここでもう辞めるといえばいいのだろうか。

 それとも尚志さんとは二度と関わらないといえばいいのだろうか。



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