さよなら、もう一人のわたし (修正前)
「あ、布団」

 あたしの短パンが濡れているということは当然、尚志さんの布団も濡れている可能性がある。

「あ、布団のことは別にいいんだけど。ごめん、気づかなくて」

 あたしたちはそこで黙ってしまった。

 気まずい時間が流れる。

「えっと、どうしようか」

 尚志さんも困った顔をしていた。

 そのとき、チャイムが鳴る。

「千春かも。ちょっと待っていて」

 あたしは頷くと、その場に座った。

 さっきまで気持ちが高ぶっていて気づかなかったのだろう。

 意識すると短パンの中が気持ち悪い。

 尚志さんが部屋を出て行く。

 彼が階段を降りる音が聞こえた。

 あたしは本当に何をやっても決まらない。

 なんか泣きたくなってきた。
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