さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 しばらく経って尚志さんの部屋に入ってきたのは千春だった。

 彼女は長い髪を後方で後ろに束ねている。

 膝丈の花柄のプリントされたスカートにピンクのサマーニットを着ていた。

 彼女のニットがところどころ濡れているのに気づいた。

 まだ雨は強く振っているのだろう。

 千春は右手のビニール袋をかかげる。

「ごめんね。買いに戻ったら遅くなっちゃって」

 あたしは首を横に振る。

「洗面所で着替える? 洋服貸すから。もし、気持ち悪かったらシャワー浴びてもいいよ?」

「大丈夫。ありがとう」

 あたしは千春から白のワンピースを借りると、そのまま洗面所に行く。

 尚志さんはリビングにいたのだろう。

 あかりがついていたからそう思ったのだ。

 あたしが着替えると、浴室の外には千春がいた。
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