さよなら、もう一人のわたし (修正前)
 あたしは彼女たちと同じ立場にさえ立ったこともないのに。


「どうかしたの?」


 あたしは突然聞こえてきた声に顔を上げた。その声に聞き覚えがあったからだ。


 あたしが顔を上げると、目の前に立っていた子に愕然とする。


 彼女は長い髪を両脇で三つ編にしていた。


 そして、微笑む。


「久しぶりかしら?」


 彼女は髪の毛をかきあげた。


 この前一緒にオーディションを受けた、あたしに悲惨だと言った女の子だったからだ。


「同じ学校だったの?」
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